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思うがままに
カリブの南に大陸が存在することが
多くの航海者によって確認されていたが
そこに住む住人との接触は禁じられてきた
我がイングランド女王をはじめとする
各国の支配層が秘密裏に艦隊を派遣し
大陸に拠点を築きつつあるという
そして我々一般航海者へも
拠点発展のための勅命がまもなく下りるという


新しき世界への扉がまさに開かれんとしていた

しかしその扉のむこうにあるのは
希望ばかりではない
まことしやかに語られてきた
海賊島の実在もまた証明されたからだ

俺とシャルは海賊によって
波乱と混乱の渦に巻き込まれるであろう
カリブ海での幾多の調査依頼を
優先的に済ませることにした

現在俺たちが調査できる依頼を
全て終えることができたのは土曜日だった

カリブからの帰りに寄ったリスボンの街は
普段から人が多かったが
この日はいつにも増して多かった
交易所前工房職人前書庫…
あらゆる場所が人であふれかえっていた
希望・野望・欲望…
人々のありとあらゆる望みであふれかえっていた

「黒耀?ここでめのうを売ればいいの?」
シャルが抑揚のない声で聞く
「まだだよ…マラガかパルマまで頑張って運ぼう
 でも全部売ったら駄目だからな10袋必ず残すんだ」
「うん…わかった…」
俺の言うままに船の舵を握り
俺の言うままに交易品を売買し
シャルの交易段階は35に達した

しかしシャルの顔に喜びの色はない
カリブの日差しの下でもシャルの顔色は
幽鬼のごとく青白く
陶製人形のように無表情だった

そしてカリブでやれることを終えてしまったシャルは
チュニスの街で座り込んだまま動きを止めた

.




「かなり…重症だな…」

俺はシャルを癒すためにギニア湾に連れて行くことにした
シャルはここからアフリカに向かうなら…と
「水が嫌いなカバ」という冒険依頼を受諾した

覇気はなくとも
冒険家としての魂の灯火までは消えてないということか…

俺とシャルはアフリカまでの航路の安全を考えて
日曜の朝にチュニスを出発した

しかし
そんな心配は無用だったようだ
新たなる世界への扉が開かれるのを待っているのは
私掠航海者も一緒だったようで
あれほど危険といわれたカナリア沖に
私掠船の姿は見えなかった
きっと国家からの勅命に備えているのだろう



アフリカの大地から響いてくるドラムのリズムに誘われ
シャルが船長室から甲板へ出てきた
俺は自船の航行を副官のルイに任せ
シャルのらじぇんどら号へと乗り移った

甲板で古代エジプトの女王の衣装を身にまとい
ニーさんから贈られたクレスピンで髪を結い上げたシャルは
船長というよりは船客のような雰囲気だった

俺はシャルに近づきクレスピンを外した
シャルの黒い髪が風の中で踊った

驚いて見上げたシャルに俺は1本の酒瓶を手渡した

砂に揉まれ
ラベルは剥がれ
擦りガラスのような傷だらけの酒瓶
奇跡的に瓶に亀裂はなく
中の透明な液体は守られたままだった

「これは?」
「アテネ沖で…サルベージしてきた」

数ヶ月前
俺とシャルはアテネ沖で私掠船に襲われ難破した
その時全ての積荷を失った
シャルが大切に保管していたウォッカ12本も例外ではなかった
セウタの町で紅夜さんが造ってくれたウォッカだった

「俺 必死で探してきたよ
 これは紅夜さんのウォッカだ」

シャルは目を見開きウォッカのボトルを見つめていた

「大切な宝物なんだろう?」

シャルの目から涙が流れ落ち
ウォッカのボトルの上で砕けて小さな虹を作った

「よく…割れずに… …ありがとう 黒耀」

「なぁ…シャル…余計なことかもしれないけどさ
 盗賊に…なりたくないんだろ?」
シャルの表情が再び固くなった
図星だったようだ

「だって…これ以上フラガラッ…」
「あのさ…やりたくもねぇ職に就いて
 嫌々発掘してきたものを喜んでくれると思うか?
 シャルの友達ってシャルにそんな思いをさせてまで
 フラガラッハを欲しがるような人なのか?」

シャルは黙り込んだ

「シャルが目指しているのは何処だ?
 シャルが師と仰ぐのは誰だ?
 己と師に恥じない生き方をしろよ
 自分が望まない生き方なんかすることないんだよ
 考古学者でいたいならそれでいいじゃないか
 考古学者のままで開錠技能とか色々鍛えたらいいじゃないか」

俺がまくしたてるのを黙って聞いていたシャルは
俺が海底から苦労して引き上げてきたウォッカの栓を抜き
そのまま中身を口に含んだ

喉が焼けるようなキリリとした強烈な酒気
なのに飲み干したあとに追いかけてくる
爽やかな香りと冷涼感
にごりのない透明な美しい色合い
孤高の伶人を思い出させる味わいに
シャルの表情は生気を取り戻し始めた


「ありがとう黒耀
 なんか吹っ切れた気がする…
 盗賊への転職は自分が本当に望む日まで
 延期することにするわ
 自分の人生ですものね」
「よかった…
 やっぱアフリカと紅夜さんはシャルの特効薬だな
 んじゃアビジャンでコビトカバの調査を終えたら
 欧州へ戻るとするか」
「え?何を言ってるの?
 このままサンジョルジュでしばらく修行するわよ?」

「はぁ?????
 何言ってるんだよ
 勅命聞き損ってもいいのかよ?
 それにアパルトメントの購入とかさぁ
 色々あるだろ?」
「せっかくサンジョルジュ近くまで来たんですもの
 宗教学と生物学それと探索と生態調査できれば開錠も
 鍛えてから帰るわよ」
「ちょっちょっと待てよ
 開錠って先日10段階になったばかりじゃねぇか?
 あと9800くらい熟練積まないと段階上がんねぇだろっ!」
「あーら 望むままに生きよと背中を押したのは黒耀よ?」



…シャル……極端過ぎだよ…
まぁでも…元気がないよりはいいか…
しばらくはシャルに付き合うことにしよう…

諦めが肝心という諺を
自分に言い聞かせる黒耀


アフリカの太陽は正午に近づくにつれ
日差しを強めていった
潮の流れと風を捕らえた
シャルの探検用ジーベック「らじぇんどら号」は
シャルの逸る心のように船足を伸ばしていった
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テーマ:大航海時代Online - ジャンル:オンラインゲーム

2006/08/29 22:08 | 航海日誌 | コメント(2) | Trackback(0) | pagetop↑
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コメント
紅夜さん、いらっしゃいませー
なんか最近開錠上げばかり考えていた自分に嫌気が差しまして
原点に戻ってみることにしました^^
アレヤコレヤ広く技能を上げていけたらな…と思ってます^^
シャルファ * URL [編集]2006/08/30 21:41
うわーコメントしづらい~(^^;

しかし、数ヶ月前、セウタで造ったウォッカ、、、、懐かし過ぎでないかな

やりたい事だけをやっていくのは無理かもしれないけど、やりたくない事を無理にやる事もないでしょう、少なくとも海の上では。

もの凄い寄り道をして大回りをしてるような私ですが、やる気の無い事はやってないし、やりたくない事は避けてきてますしねぇ。(゜゜)
紅夜 * URL [編集]2006/08/30 11:01
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